英語では、文を強調して表現するために倒置構文が使われることがあります。
特に否定語(never, hardly, little, not until など) が文頭に置かれると、強調の効果が生まれ、通常の語順が変化します。これを、否定語で始まる倒置構文と呼びます。
今回は、この倒置構文の基本ルールとよく使われるパターンを具体的な例文で解説します。
1. 否定語で始まる倒置の基本ルール
通常の英語の語順は「主語 + 動詞」ですが、否定語を文頭に置くと倒置構文となり、語順が入れ替わります。
「助動詞・be動詞・一般動詞」の一部が主語の前に出る形になり、文章全体に強調やフォーマルな印象を加えることができます。
例えば、次の2つの文を比べてみましょう。
- 【平叙文】
I have never experienced such kindness.
(私はこのような親切を経験したことがない) - 【倒置文】
Never have I experienced such kindness.
(私はこのような親切を経験したことがない!)
両者の意味は同じですが、後者は Never を文頭に出すことで「強い驚き」や「強調」を感じさせる表現になります。
2. よく使われる否定語と倒置のパターン
2-1. Never(決して〜ない)
最もよく使われるパターンです。経験や意志を強調します。
- Never will I forget your kindness.
(あなたの親切を決して忘れないだろう) - Never had I seen such a beautiful sunset before.
(これほど美しい夕日を見たことは今までなかった)
2-2. Hardly / Scarcely(ほとんど〜ない)
よく使われるのが「Hardly / Scarcely … when 〜」という表現で、「…するやいなや〜」という意味になります。過去完了形と一緒に使われることが多いです。
- Hardly had he arrived when it started to rain.
(彼が到着するやいなや、雨が降り出した) - Scarcely had I closed my eyes when the alarm rang.
(目を閉じた途端に目覚ましが鳴った)
「Hardly / Scarcely … when 〜」は書き言葉として、日常会話よりも文章でよく見られます。
2-3. Little(少しも〜ない)
Little を前に出すと、「全く〜しなかった」という強い否定を表します。
- Little did she dream of becoming famous.
(彼女は有名になるなんて夢にも思わなかった) - Little did we expect such a result.
(私たちはそのような結果を少しも予想していなかった)
2-4. Not until 〜(〜して初めて)
「Not until」を文頭に置くと、主節が倒置されます。
- Not until I spoke to her did I realize my mistake.
(彼女に話しかけて初めて、自分の間違いに気づいた) - Not until the game was over did they relax.
(試合が終わって初めて、彼らは安心した)
2-5. At no time / In no way(決して〜ない)
フォーマルな表現で「絶対に〜しなかった」「決して〜できない」という意味を強調します。
- At no time was he rude to the teacher.
(彼は決して先生に失礼な態度をとらなかった) - In no way can this issue be ignored.
(この問題は決して無視できない)
3. まとめ
- 否定語が文頭に出ると、語順が変わり「倒置構文」となる。
- 主語の前に助動詞・be動詞が出るのが基本ルール。
- よく使われる表現:
1. Never(決して〜ない)
2. Hardly / Scarcely(〜するやいなや)
3. Little(少しも〜ない)
4. Not until 〜(〜して初めて)
5. At no time / In no way(決して〜ない) - 書き言葉やフォーマルな場面で使われることが多く、強調の効果を持つ。